甲鉄城のカバネリ1話 二度見ピックアップ
甲鉄城のカバネリ1話、個人的にはとても満足感の高いものでした。皆さんはどうでしたでしょうか?
まず最初に主人公達の住む顕金駅にカバネに制圧された一台の暴走した駿城(はやじろ:鋼鉄製の汽車)が突入してくるシーンです。このシーンから受けるのは「人間側の科学力の象徴である駿城が敵の手に落ちている事で人間とカバネのパワーバランスが崩れたイレギュラーな状況である」という印象です。本作はいわゆるゾンビパニック系ホラーに(大まかには)分類されると思うので、安心から恐怖への感情の急降下がポイントになります。そのため人間にとっての安息のエリアに急に不条理が来訪するこのシーンは最大の見せ場と言って良いでしょう。このシーンの中で特に注目したいカットが、駿城が橋につっかかり跳ね上がる所をカメラが回り込みながらスローモーションで全体を見せる所です。派手な動きを作りながらも3DCGにありがちなチープな雰囲気を排しているのが気持ちいいです。このような難しいカメラワークを実現できてしまうCGIやコンポジット等今のデジタル技術の高さが伺えます。
さて今回の記事では個人的に見所だなと思うシーンを語りたいと思います。
(時系列順ではなく印象に残った順に挙げるのでまだ途中しか観てない方は一応ネタバレ注意です!)
追記)ちなみに渋谷のタワーレコードで開催していた甲鉄城のカバネリ展で掲載されていた1話の絵コンテによると、このシーンは洋画のスーパー8を参考にして作られているそうです。自分も観たことはありますけどディティールは思い出せないです。
作画ファンとしてのピックアップ
ここからは少しマニアックな視点で紹介させてもらいます。
最初に注目したいのが無名の初登場シーンにて、無名が映った2カット目のけん玉で遊んでいる所です。ここのけん玉を支えている腕の上下、それに合わせたけん玉の上下が柔らかくて慣性が乗っているように描写されているため「玉を受け止めている」という情報がちゃんと伝わってきます。更に玉のバランスを取ろうとしているけん玉全体の挙動がとても写実的で上手いです。この後のけん玉を振り回すシーンも面白いのですが個人的にはここが印象に残りました。
次に紹介するのは菖蒲様のお父様の乗馬しているカット。(この画像は既に動いた後になります)正面を向いている状態から馬を操り後ろへ向き直ります。この時馬の動きが先にあり、それに遅れて上体が少し反ってからこの画像のような体制をとります。ここもしっかり慣性を感じる写実的な動きが成立していて上手いです。
この二つのカットは実際のけん玉や乗馬の動きをよく観察されて描かれたのではないかなと思いますね。
1話で満足した人へ、少なくとも3話まではこのクオリティの作品が続くので楽しみにしてください。
自分も早く見返したいです…!
*1:これは特効と呼ばれる処理によるところらしいです。役職名は『メイクアップアニメーター』とクレジットされているのだとか。