アニメカタルシス

アニメの感想についてちょいちょい書きます

甲鉄城のカバネリ1話 二度見ピックアップ

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甲鉄城のカバネリ1話、個人的にはとても満足感の高いものでした。皆さんはどうでしたでしょうか?
さて今回の記事では個人的に見所だなと思うシーンを語りたいと思います。
(時系列順ではなく印象に残った順に挙げるのでまだ途中しか観てない方は一応ネタバレ注意です!)



まず最初に主人公達の住む顕金駅にカバネに制圧された一台の暴走した駿城(はやじろ:鋼鉄製の汽車)が突入してくるシーンです。このシーンから受けるのは「人間側の科学力の象徴である駿城が敵の手に落ちている事で人間とカバネのパワーバランスが崩れたイレギュラーな状況である」という印象です。本作はいわゆるゾンビパニック系ホラーに(大まかには)分類されると思うので、安心から恐怖への感情の急降下がポイントになります。そのため人間にとっての安息のエリアに急に不条理が来訪するこのシーンは最大の見せ場と言って良いでしょう。このシーンの中で特に注目したいカットが、駿城が橋につっかかり跳ね上がる所をカメラが回り込みながらスローモーションで全体を見せる所です。派手な動きを作りながらも3DCGにありがちなチープな雰囲気を排しているのが気持ちいいです。このような難しいカメラワークを実現できてしまうCGIやコンポジット等今のデジタル技術の高さが伺えます。f:id:aioi7:20160408123815j:image
追記)ちなみに渋谷のタワーレコードで開催していた甲鉄城のカバネリ展で掲載されていた1話の絵コンテによると、このシーンは洋画のスーパー8を参考にして作られているそうです。自分も観たことはありますけどディティールは思い出せないです。
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次に見るのは対照的に、カバネによってもたらされる恐怖に立ち向かう主人公生駒のパーソナルな部分です。ラスト数分前の生駒が貫き筒でカバネを撃退するパート、それに続いてカバネに噛まれてしまった主人公がとる行動、その一連の展開に引き込まれた方は多いのではないでしょうか。カバネに噛まれたという絶望的な状況にも関わらず諦めずに生き延びようともがく姿が荒々しく描写されていて心を打ちます。生駒役の畠中さんの演技も相まって共感と快感が強く作用する素晴らしいシーンですね。f:id:aioi7:20160408210545j:imagef:id:aioi7:20160408210551j:image



作画ファンとしてのピックアップ
ここからは少しマニアックな視点で紹介させてもらいます。

最初に注目したいのが無名の初登場シーンにて、無名が映った2カット目のけん玉で遊んでいる所です。ここのけん玉を支えている腕の上下、それに合わせたけん玉の上下が柔らかくて慣性が乗っているように描写されているため「玉を受け止めている」という情報がちゃんと伝わってきます。更に玉のバランスを取ろうとしているけん玉全体の挙動がとても写実的で上手いです。
この後のけん玉を振り回すシーンも面白いのですが個人的にはここが印象に残りました。


次に紹介するのは菖蒲様のお父様の乗馬しているカット。f:id:aioi7:20160408220618j:image(この画像は既に動いた後になります)正面を向いている状態から馬を操り後ろへ向き直ります。この時馬の動きが先にあり、それに遅れて上体が少し反ってからこの画像のような体制をとります。ここもしっかり慣性を感じる写実的な動きが成立していて上手いです。
この二つのカットは実際のけん玉や乗馬の動きをよく観察されて描かれたのではないかなと思いますね。

最後に無名ちゃんファンとしても選ぶ作画がラストシーン、回し蹴りで鳥居にぶっ刺さった下駄を抜こうとして、抜けずに諦める所です。このアニメを観ていて「この作画なんだか絵画チックだな」と思うようなシーンを何度も見かけなかったでしょうか。*1こういったカットはほとんどの場合主要キャラの顔がアップで映っていますが、この最後だけは足を映していて、特別な意図に感じます。(アップショット=魅せカットのような考え方か)激しいシーンが続く終盤でも、最終カットだけは静かに終わらせるという部分に侘しさと劇の終盤の寂しさが融和しているような良さを感じます。あと単純に足の描写にフェチを感じるので、スタッフのこだわりが(主に自分に)嬉しいシーン。

第1話で取り上げたかった内容は以上です。見返す時の参考になれば嬉しいです。

1話で満足した人へ、少なくとも3話まではこのクオリティの作品が続くので楽しみにしてください。

自分も早く見返したいです…!


*1:これは特効と呼ばれる処理によるところらしいです。役職名は『メイクアップアニメーター』とクレジットされているのだとか。