アニメカタルシス

アニメの感想についてちょいちょい書きます

響け!ユーフォニアム 8話由来のアイコン

遅ればせながら響け!ユーフォニアムを先日Gyaoで一気見。劇場版も観て来た。ここ最近観たアニメの中では一番ぐらいに楽しめた作品。
 
 
 
響け!ユーフォニアム第8話は特に印象的な描写が多く感じた。アイテムやシチュエーションにより複雑に象徴が用いられていそうだと思い考察していたところ、どうやら8話由来の象徴が他の話数でも度々登場しているようだ。
この記事は8話と他話数の描写とを比較し共通する象徴性を抜き出す事を目的としたものだ。
 
 

山登り/階段上り

 
8話 麗奈と久美子が山を登るシーンf:id:aioi7:20160516175616j:image
 
12話 滝先生と久美子が(久美子が忘れた携帯を取りに向かうのに)階段を上るシーンf:id:aioi7:20160516175652p:image
 
8話は山登りを通した麗奈との接近により久美子の内面に一番大きな革命が起きた回だ。それと同じように12話では久美子が「音楽が好きだ」という実感を音楽の先人である滝先生の言葉から見出す。
どちらも久美子が自分より先(上)を歩く人間から影響を受けているというテキストを読む事ができる。
 
 

靴による対比

 
8話f:id:aioi7:20160516180513j:imagef:id:aioi7:20160516180644p:image
簡潔に言うとこれは二人の生き方の違いを対比したものだ。久美子の歩きやすいスニーカーは彼女の「他者との衝突を避ける」ような特徴の生き方を「生きやすい」と説明している。逆に麗奈の“歩きにくいヒール”は彼女が周囲と衝突する事を恐れないという「生きにくさ」を象徴しており、更に久美子が麗奈の生き方を「美しい」と感じているのだという事を説明している。
 
 
11話f:id:aioi7:20160516181300p:image
トランペット2年の吉川優子が夏紀先輩から麗奈に何かする気かと詰め寄られるシーンの直後のカット。これは彼女が本当に麗奈に対して道を外れたような行為をするか(=外履き)、そうせずに道の内に収まるか(=上履き)という二つの生き方の間での葛藤であるように思える。
 
髪留めとポニーテール
8話f:id:aioi7:20160517070712j:imagef:id:aioi7:20160517070929p:imagef:id:aioi7:20160517072236p:image
麗奈はユーフォニアムを背負って運ぶ時に髪を結ぶ必要があるのでシュシュを腕につけるという方法で携帯していた。
「周囲に流されたくない」と言う時のイメージ描写において、恐らく無目的であろうシュシュを手首につけるという「流行り」が表現されている。
この二つの描写には「流行りに乗る周囲」と「流されない麗奈」とを対比する目的があるのだろう。
髪留めによってポニーテールを結う事はその人物が「流されない個性」である事を示している。
 
1、13話f:id:aioi7:20160517071436p:image
1話の久美子は高校で新しく挑戦するために髪留めでポニーテールにする事で気合を入れている。しかし姉に「気合い入りすぎ」と指摘される事で、その意見に"流されて"しまい髪留めを使わなくなってしまう。
13話の久美子はコンクールに赴く前に髪型を再びポニーテールにするがこれはそれまでの流されやすい彼女と決別するようなニュアンスが込められている。
 
 
愛の告白で光に導く
 
8話f:id:aioi7:20160516184230j:imagef:id:aioi7:20160516182414j:image
暗い夜の山の上へ久美子を連れて来た麗奈がそこから久美子に"光る夜景"を見せる。その事で久美子の内面に変化を及ぼす。
 
12話f:id:aioi7:20160516183106p:imagef:id:aioi7:20160516183212p:image
 
久美子に弱気を吐く麗奈。その姿は影の中にある。対照的に光の中にいる久美子は麗奈に「愛の告白」をする事で麗奈を光の中に導く。
 
 
エリア内での秘密の共有
 
8話f:id:aioi7:20160516183502j:image
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ひとつの"屋根の下"で二人の共有する「中3の送別会で吹いた曲」を奏でる。この回麗奈の野望という秘密が二人に共有され、奏でる曲がそれを象徴している。
 
10話f:id:aioi7:20160516184817j:imagef:id:aioi7:20160516184810j:image
8話と同じように屋根の下で、麗奈が「滝先生の事が好きだ」という秘密を漏らす。
"屋根"は二人が秘密を共有できる精神的な領域を示したものだろう。